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夏川草介/著 水鈴社/出版 |
その医師は、最期に希望の明かりをともす。雄町哲郎は京都の町中の地域病院で働く内科医である。
三十代の後半に差し掛かった時、最愛の妹が若くしてこの世を去り、一人残された甥の龍之介と暮らすためにその職を得たが、かつては大学病院で数々の難手術を成功させ、将来を嘱望された凄腕医師だった。
哲郎の医師としての力量に惚れ込んでいた大学准教授の花垣は、愛弟子の南茉莉を研修と称して哲郎のもとに送り込むが……。
水車小屋のネネ
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津村記久子/作 毎日新聞出版/出版 |
誰かに親切にしなきゃ、人生は長く退屈なものですよ。
18歳と8歳の姉妹がたどり着いた町で出会った、しゃべる鳥〈ネネ〉。
ネネに見守られ、変転してゆくいくつもの人生――。
助け合い支え合う人々の40年を描く長編小説。
レーエンデ国物語
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多崎礼/著 講談社/出版 |
異なる世界、西ディコンセ大陸の聖イジョルニ帝国。
母を失った領主の��・ユリアは、結婚と淑やかさのみを求める親族から逃げ出すように冒険の旅に出る。
呪われた地・レーエンデで出会ったのは、琥珀の瞳を持つ寡黙な射手・トリスタン。
ユリアはレーエンデに魅了され、森の民と暮らし始める。時を同じくして、建国の始祖の予言書が争乱を引き起こす。レーエンデを守るため、ユリアは帝国の存立を揺るがす戦いの渦中へと足を踏み入れる。