【令和2年9月版】 読書の森(中央公民館図書室情報) 最終更新日:2020年9月2日 9月の新刊紹介背高泡立草古川真人/著集英社/出版 第162回芥川賞受賞作。草は刈らねばならない。そこに埋もれているものは納屋だけではないから。長崎の島に暮らし、時に海から来るものを受け入れてきた一族の、歴史と記憶の物語。 主人公美穂の実家がある帰省を軸に、「人間」と「島」の出来事が描かれていく。この帰省には美穂の兄妹や、その娘たちも一緒に同行する。時折、島の風景などと関連してそれらにまつわる過去の出来事が物語られる。 FACT FULNESSハンス・ロスリング、オーラ・ロスリング、アンナ・ロスリング・ロンランド/著日経BP社/出版10の思いこみを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣。ここ数十年間、私は何千もの人々に貧困、人口、教育、エネルギーなどの世界にまつわる数多くの質問をしてきた。医学生、大学教授、科学者、企業の役員、ジャーナリスト、政治家・・・。ほとんどみんなが間違えた。みんなが同じ勘違いをしている。本書は事実に基づく世界の見方を教え、とんでもない勘違いを観察し、学んだことをまとめた1冊だ。 誰も気づかなかった長田弘/著みすず書房/出版柔らかな言葉で物事の本質を捉えた作品で親しまれ、2015年に75歳で死去した詩人の長田弘さんの詩集『誰も気づかなかった』が刊行された。収められた詩はいずれも生前に発表されたものなのに、新型コロナウィルス感染拡大に苦しむ私たちの心に深く響いてくる。 どこにも危険はなかった。 危険もまた、最初はただ、些事(さじ)としてしか生じないからである。 ただそれだけのことだった。 おすすめの本紹介 自宅で過ごす時間が多い今、ものづくりに挑戦してみませんか? おうちで作れる陶器風ブローチ高橋ひとみ/編ブティック社/出版石粉でできた粘土(石塑粘土)を使って陶器風のブローチを手軽に作る方法を紹介しています。焼く手間がいらないので窯が必要なく、身近な材料で作れるのでとってもおすすめです。 かわいいフェイク・スイーツのつくり方氣仙えりか/著グラフィック社/出版甘くて美しくてリッチなスイーツは、まさに幸せの象徴。見ているだけで笑顔になります。そんなスイーツのそっくりさんを、粘土やシリコーンなどの身近な素材で手作りしてみませんか? プラバンでつくる本格アクセサリーNanaAkua/著日東書院/出版トースターの中で「くにゃり」と縮むプラバンを見つめながらふと思ったのです。「真っ直ぐにしなくて良いかも・・・。」立体化したり、アルコールややすりを使って色の付け方を工夫したり・・・。プラバンで作るから簡単、可愛い、値段も手ごろ。トースターの中から生まれる自分だけのアクセサリー。 粘土で作る多肉植物福田佳亮/編ブティック社/出版粘土みたいな多肉植物を本当に粘土で作ってみました。ぷっくりつやつや、肉厚な葉っぱの重なりがポイントです。引き立て合うモダンな色に注目。本物よりも少し大胆に作ります。ちょこんとした佇まいが魅力。どこに飾っても絵になります。 スクラップホリックの本永岡綾/著エディシオン・ドゥ・パリ/出版写真を撮るのが大好きで、飛行機のチケット、古切手、お砂糖の包み紙までかわいい紙を見つけるとついつい集めちゃう。いつしかいっぱいになったのをスクラップブックに貼ってみたら、なんだか楽しくて、誰かに見せたくなった。そんな出来事から「スクラップホリック」は生まれました。 直木賞・芥川賞受賞作の作品も多数蔵書されています。 きことわ朝吹真理子/著新潮社/出版 第144回芥川賞受賞作。 葉山の高台にある別荘で、幼い日をともに過ごした貴子と永遠子。 ある夏とつぜん断ち切られた親密な時間が、25年後別荘の解体を前にしてふたたび流れはじめる。ふいにあらわれては消えてゆく、幼年時代の記憶のディテール。やわらかく力づよい文体で、積み重なる時間の層を描きだす、読むことの快楽にみちた愛すべき小説。 苦役列車西村賢太/著新潮社/出版第144回芥川賞受賞作。劣等感とやり場のない怒りを溜め、埠頭の冷凍倉庫で日雇い仕事を続ける北町貫多、19歳。将来への希望もなく、厄介な自意識を抱えて生きる日々を、苦役の従事と見立てた貫多の明日は・・・。後年私小説家となった貫多の、無名作家たる諦観と八方破れの覚悟を描いた「落ちぶれて袖に涙のふりかかる」を併録。 冥土めぐり鹿島田真希/著河出書房新社/出版第147回芥川賞受賞作。裕福だった過去に執着するような傲慢な母と弟。彼らから逃れ結婚した奈津子だが、夫が不治の病になってしまう。だがそれは、奇跡のような幸運だった。車椅子の夫とたどる失われた過去への旅を描く。 昭和の犬姫野カオルコ/著幻冬舎/出版第150回直木賞受賞作。戦後間もない昭和30年代から平成19年までの間、移り行く時代を静かに生きる女性を描きます。子どものころ大切な兄弟のように一緒だった犬や猫のエピソードや、間借り先の家族とのふとした会話など、恋愛よりももっと繊細な心の動きが細やかに描かれます。 恋歌朝井まかて/著講談社/出版第150回直木賞受賞作。樋口一葉の師として知られる明治の歌人・中島歌子。物語は明治後期、彼女の弟子・三宅花圃が、歌子の手記を見つけることから始まる。そこには、いつまでも娘のように奔放な師からは想像もできない、激しい恋と壮絶な過去が綴られていた。